曖昧

輝く瞳の中に隠れたBlue

曖昧な二人~カイスタルを綴る〜

非常に悩んだ。友達、幼馴染、恋人、先輩と後輩、兄妹(または双子?)…一つの写真から連想される関係は数知れない。きっとどの言葉も当てはめようと思えば当てはまるし、かと言えば少し物足りなく、間違っている気もする。そんな時ふと思う、この先どんなに文才を磨いても二人の世界を表す最も適切な言葉は見つからないのかもしれないと。
それでも私はカイスタルについて書いてみたいと強く思う。綺麗、お似合い、儚いという言葉以上のものを自分の言葉で表現したいと思うのだ。

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言わずと知れたPink Tapeのティーザー。賛否両論あったのは勿論承知の上で、私自身これらの写真に強く惹かれ、同時に確信した。「あ、二人はこのために出会ったんだ」初恋を歌ったこのアルバムの、この写真の被写体になるために。2013年の活動期、f(x)とEXOはグループとして確実に最後の青春の夏の中に居た。思春期の終わりと青年期の始まりの狭間、曖昧な年齢。完全に大人になってしまう前の最後の瞬間を共に。中でもカイとクリスタルは年齢的にそれが顕著に際立っていたし、初恋のぎこちなさや不安定さ、もどかしさ、また初々しさを表現するに最も美しい時期だったのだと“誰か”が見抜いたのだろう。事実、翌年の次のカムバックでは完全に制服を脱いで成熟をアピールしたし、グループ編成も変わり始め急激に大人へと成長せざるを得なくなった。MAMAで久しぶりに両グループが同じステージに立つのを見て完全に大人の女性と男性に成長したのだと思い知らされたし、同時にあの夏のなんだか少しそわそわした雰囲気を微塵も感じさせなかったことに切なさも感じた。アイドルの成長は待った無し、とてつもなく早いのだ。それはつまり、もう戻ってこないことを意味する。二人が最も甘酸っぱく、繊細で美しかったあのとき。

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2015年、カイスタルに惚れ込んでいる“誰か”がまた二人を被写体として引き合わせた。2年前に比べてカイの表情の成長に驚いた上に何よりも各々被写体としての主張が激しくなったというか、カリスマ性をより強く感じるようになった。それはきっと必然的なことでお互いにグループのセンターとしての経験を積み、良い意味でも悪い意味でも写真に撮られ慣れたということもあるんだろう。
2年のブランクがあろうとも相変わらず二人の他を寄せ付けない完璧な世界(例外イテミン)は健在で、やっぱりこの二人は実際仲が良かろうが悪かろうが、平たく言ってしまえばビジュアルにおいて天性の相性を持っているんだと再認識させられるのだ。

この二人の世界観を構成する上で最も重要視されている項目は「94ライン」という魔法の言葉だろう。もはやある種のブランドと言っても過言ではない94ライン。f(x)とEXOに限るのであればクリスタル(ソルリ)カイセフンの4人である。普通なら同い年、同期というだけでどこか特別視してしまうが、特別仲が良いとかそういう話は聞かない。むしろお互いに気づかないフリをしているような気もする(これがファンの目のせいだとしたら?)
ただ、たまに彼らがぽろりと溢す練習生時代のエピソードやさり気ない接触がファンに「何か秘密があるのでは」という希望と甘いときめきを持たせるのだろう。そういった意味でカイスタルは(あくまでファンが作る想像の世界において)練習生時代の初恋だったのかもしれないし、素っ気無い裏で愛情を持っているのかもしれないし、何か重大な秘密を共有している大親友かもしれないとファンのロマンあるいは宿敵としてこの先も描かれ続けるのかもしれない。それは一歩先に現実世界を見せたソルリの役割も担っているようにも思われる。二人の年齢離れした大人っぽさとか、他のアイドルに比べると少し無愛想だったり言葉少ないところだったり、あるいは私服の系統だったり。幸か不幸かファンにも所属事務所にも似ている、合うと認識された二人は“そういう対象”として見られることを避けられなくなった。
ただ、クリスタルにとって同い年(注)…“オッパじゃない人”の存在は貴重だ。ドラマにおいていつもお兄さんと共演する彼女にふざけながら「あいつはきらい」と言える男の子の存在がいるなんて。カメラの前で年上とか年下とか、そう言ったものは関係ないのかもしれない。ただ私が思うのはあの夏を共有した彼と年を重ねても同じ写真に映って欲しいのだ。青春を知らないアイドルたちが送ったステージ上の青春。きっと二人は少し特別な思い出として憶えていてくれると、私も夢をみているのかもしれない。



(注)カイくんは94年生まれですが、学年的には1つ上